専業主婦とOL

これまで述べたように、日本では「会社員」というと「正社員」のことを指していました。そのなかで女性の「正社員」の圧倒的多数は「OL」と呼ばれ、男性の社員たちとは区別されてきました。「OL」は、結婚して家庭で企業戦士を補助するまでは、職場の男性を補助して「明るく」する「職場の花」とされてきました。男性並みの仕事をハードにこなし、定年まで頑張る女性事務職は結構いたのですが、こうした人々は昇格から外され、いなかった人のように扱われることが多かったのです。一方、「OL」は、愛想がよくて気がきく、という能力が期待され、専門技能や業績のうえですぐれた「戦力」でなくても(ときにはむしろすぐれていない方が)OKの「フッーの女の子」の受け皿だったのです。自分にいまひとつ確信を持てないでいる多くの女性が、「私でもなれそう」と感じ、学校を卒業した後の自分の一応のおさまり場所と想定してきたのが「OL」でした。その意味では「専業主婦」に似た、ひとつの避難所だったともいえるかもしれません。ところが、経済環境が厳しさを増すなかで、今は、この部分の仕事が、派遣社員やパートタイマーなどに置き換えられつつあります。男性も会社にいさえすれば自動的に昇進昇給する環境ではなくなってきました。パートナーの男性が失業せず、妻の分も稼げる仕組みがあり、だからこそ「腰掛けOL」が通用したのに、まずこの部分で避難所があやしくなり、さらに「OL」という避難所も失いつつあるのです。もし、出会った相性が合う人と結婚しても仲が悪くなったらここを思い出してください。

出典:
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