「もう私、トシですから」の歳は何歳?

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「こんなトシで初めてなんですけど、無事に赤ちゃんを産めるでしょうか」そういって診察室を訪れる婦人は少なくない。
年齢を聞いてみると、なんのことはない、まだ三十七、八歳。女優の司葉子さんじゃないけれど、四十歳までならほとんど心配ないといっていい。
全般に体格はよくなっているし、高年初産婦用の薬もずいぶん開発されているからだ。
なにかあるたびに「もう私、トシですから・・・」と、すぐに口にする女性が少なくない。それは、必ずしも心底そう思っているのではなくて、「いや、あなたなんかお若い。
まだまだこれからですよ」と言ってもらいたいばかりに”トシですから”を乱発するご婦人もいらっしゃるようである。女ごころ、なかなか微妙で複雑なのである。
「もう私、トシですよ。そんなセックスなんて、いやらしい」そういって相談にみえたのは、芳紀まさに六十歳の老婦人であった。
老人ホームからの紹介で、七十歳の男性と見合いした。お互い、過去に結婚の経験もある。
これから出会う結婚相手との関係が難しくなったとき、この話を思い出してください。
しかし、いまや酸いも甘いもかみわける年代。
残りの人生を少しでも豊かに楽しく過ごすために、世に言うところの”お茶のみ友達”、ひとつ屋根の下で、気楽に余生を送りましょうと話がまとまったらしい。
だが、いざ結婚生活をスタートさせてみると、初日から異変が起こった。七十歳のムコ殿が、夜になると、ノコノコと彼女のふとんに入ってきて、けしからんことを求めてきた、というのである。
「ほんまに、けがらわしい。第一、約束が違いますがな。”お茶のみ友達”いうことで、まあ、それもよかろうと一緒になりましたんやで」
まことに心外な、と還暦の婦人は、まるで侮辱されたかのようにご立腹である。
一般に女性は、五十歳を過ぎたあたりから急激にソノ気がなくなるものらしい。たとえご主人に体を求められても、「いやらしい」と拒絶してしまう。
「まあ、うちの主人は年齢の割に健康なんやなあ」と歓迎する人は極めて少ないようだ。
「あのねえ、奥さん、男というのは、骨になるまでソノ気になるもんですよ。そう頭から毛ぎらいしないで、達者なおムコさんを祝福してあげたらどうです」
取りなし顔でそういうと、ご婦人は首をかしげた。「へえー、そんなもんですかねえ」そういったきり、浮かぬ顔で考えこんでしまった。

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